立秋残暑

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立秋でございますが、秋は名のみでこの暑さ。

残暑お見舞い申し上げます。

なごりの暑さなど侮ってはいけません。

どうぞご体調にお気を付けになってお過ごしくださいませ。



「あついねー」

「……」

「ねえ、あついねー」

「いいよー、話しかけられるとあつい」

「かき氷食べるー?」

「いい」

「あたまキンキンさせなくていいの?」

「いい。朝からあたまキンキンさせすぎて、お腹がいたい」

「あのさ、怖い話して涼しくなろうか」

「あ、いまちょうどおんなじこと考えてた。不思議だね」

「不思議だね」

「怖いね」

「怖い話してよ」

「怖い話知らないよ。怖い話してよ」

「怖い話するとなんか来るっていうよね」

「いうね」

「あのさ」

「あのさ、なんで急に低い声でいうの」

「こういう声しかでないんだ」

「しゃべり方ヘンだよ」

「そうかしら。あたしはいつでもこんなふうにお話していたんだわ」

「……」

「ああ、なつかしい」

「うーん、あのさ、後ろにいる人だれ?」

「ああ、ここ。ここだわ」

「あのさ、後ろにだれか来てるみたいなんだけど」

「え、なに? マジのはなし?」

「……」

「……後ろって」

「……見えない?」

「え?」

「……髪の長い……」

「え……」

「……ワ、来た」

「ワ、ワ、ワ、やだー」

「やだー」










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# by soba-kotan | 2017-08-07 15:58 | 古譚小譚

2017 8月の営業のご案内

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8月の休業日は

7日(月)、14日(月)、21日(月)、28日(月)

の各定休日の月曜日です。

ご確認の上お越しくださいませ。

お待ちしております。





「ねえねえ、かき氷とけちゃうよ」

「いいの」

「トッピングがうずもれちゃうよ」

「トッピングだけ先食べる。あ、早いね、食べるの」

「うん」

「どう?」

「え」

「あたま」

「あたま?」

「あたまキンキンしない?」

「だいじょうぶ」

「あ、あたま痛くなくていいんだ?」

「痛くなくていいよ」

「せっかくかき氷食べてるのにいいんだ」

「あたまキンキンが好きなんだ」

「キーンていうのが好きなんだ」

「じゃ早く食べれば」

「溶けかけのかき氷をね、いっきに流し入れるの」

「……」

「あたまがキーンどころかズキズキで、なんにも見えなくなるね」

「そういうのが好きなんだ」

「かき氷のダイゴミってもんだね。やってみ」

「いいや」








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# by soba-kotan | 2017-07-31 22:37 | お知らせ

バジルきり 2017の夏


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7月の残りの土日(29日・30日)

バジルきりいたします。

ことしもとまとのつけ汁とのセットも作ります。

ご注文をお待ちしております。



「あのさ、よ~いドンってするじゃん」

「ああ、かけっこ」

「そうなんだけど、そうじゃなくてさ……」

「ああ、徒競走ね」

「いや、もっと単純な単語でさ」

「え、走る」

「うん。ハシル」

「……なに食べるか決めた?」


「あのさ、汗顔のいたりとかわかる」

「え?」

「慙愧にたえないとか」

「は?」

「簡単な単語で言うとさ」

「恥ずかしい?」

「うーん、動詞で」

「恥じる?」

「うん。ハジル」

「ねえ、なに食べるか決めなよ」


「あのさ、ダンスなんだけどね」

「はあ?」

「ジルバって知ってる」

「は? ジ ル バ?」

「うん。ジルバ」


「あのね、とってもこういうの面倒だと思わない?」

「そうかな」

「ハシルで、ハジルで、ジルバ?」

「……」

「どうして、『バジルきり』って言えないの?」

「いや、キミが言いだしかねてるのかなーって思って、ちょっとヒントみたいな」

「いらないのね、そういうの。アタシ決めてるから」

「なに?」

「バジルきり」

「偶然だね。ボクもだな」

「どうして、バジルきりがよ~いドンから始まるのかしらね、アンタって」









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# by soba-kotan | 2017-07-29 08:46 | お知らせ

芥川龍之介 没後90年 個人的なおぼえ書き

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ページの縁の焼けた芥川龍之介の文庫本が手元にまだある。昔の角川文庫に十巻ででていたもの。
奥付を見ると「昭和四十九年」から「昭和五十年」。高校生の頃に読んでいたもの。
一冊読むと次のを求めて読んでいた。神保町は静かで薄暗い感じがだった。

 『或る阿呆の一生・侏儒の言葉』の巻のをパラパラとしていたら、ペンで傍線が引かれているページにあたった。傍線を引いた記憶はもはやない。
引いてあるのは「侏儒の言葉」の「人生」の終わりのパラグラフのところ。
「人生は狂人の主催になったオリンピック大会に似たものである。我々は人生と闘いながらも、人生と闘うことを学ばねばならぬ。」
なにを思って引いたのかわからない。高校生が目を止めそうな文だと思う。

 線を引いたことは忘れていたがこの文章は覚えていて、この章段の終わりの「しかし人生の競技場に止まりたいと思うものは創痍を恐れずに闘わなければならぬ」という文を引用して高校の卒業文集のようなものに書いたのを思い出した。芥川をちょっと皮肉っぽく書いた。

 皮肉っぽく——畢竟それ自体が芥川の影響を受けたことをよく物語っている。のみならず引用していること自体が芥川の影響下にあったことを明らかにしている。

 作者を読むということを初めてしていたころのことである。
けれどもその頃の気分に沈潜したいとは考えない。芥川の言葉を引けば「……さういう次第だから昔のことを小説に書いても、その昔なるものに大して憧憬は持っていない」(『澄江道雑記』〉

個人的な、余りに個人的な覚え書き













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# by soba-kotan | 2017-07-24 15:44 | 古譚小譚

夏の新そば

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夏の新そばでございます。
〈せいろ〉にて打ち始めました。

どうぞお召し上がりください。



——夏だぜ。オレの季節だぜ。ちぇ太陽がまぶしいぜ。
  夏の新そばか、イカすぜ。オレは待ってたぜ。
  ああ海が呼んでる。

——なにがんばってスカしてんの。変わらないね。

——おっと、来てたのかい。待ってたぜ。夜霧で見えなかった。

——今日は7月7日よ。今日がどういう日かわかってるよね。
  太陽がまぶしいとかって言ってたけど、太陽って星、あたしたちよりずっと小さいんじゃない。
  第一こんな時刻に太陽が出てるかっていうの。
  それにね、海が呼んでるってけど、あたしたちの前にあるのは川ですからね。ホントに。

——太陽がまぶしいってのは、オレのはやとちりだったようだな。
  まぶしいのはキミだぜ。
  そっちこそ1年ぶりに会ったっていうのに面白みのないことばっかりだ。かわいくねえぜ。
  もっとスカッとするようなセリフが聞きてえや。

——そんなセリフのことよりなにかおいしいもの食べにいこうとかいえないの。
  せっかくなんだし、時間なんてすぐ過ぎちゃうんだから。

——ちぇ、わかってねえぜ。だから、このそばを食べようっていってるんだぜ。

——それじゃ、アマノガワで流しそばして食べよっか、たのしそうだね。

——ハハハ。そうこなくっちゃ。それでこそ織姫姉さんだ。下向いてちゃ、せっかくの美人が台なしだぜ。

——あたしはあんたとそばがいいよ。

——ちっ、泣かせやがるぜ。オレもおまえのそばがいいぜ。ああアマノガワなんてへしおっちゃいたいな。スカッとするだろうな。
  ハハハハハハハハハ
  惚れてるぜ。

——なによいきなり。

——いきなりいうもんだろ、こういうの。
  でもよ、けっこうジワジワ口説いてたんだぜ、オレ。




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# by soba-kotan | 2017-07-07 00:07 | お知らせ